平安物語=短編集=【完】



半月後、人目を騒がせないよう夜に引っ越しました。

移動の牛車の中で、御簾の外の暗闇が不気味で恐ろしく、寂しい気持ちでおりました。


やっと父上のお屋敷に着いた時、門の脇に一台の車が停まっていました。

その車の従者がこちらに声を掛けてきて、こちらの車も止まります。

何だか怖くて、同乗していた侍従にすり寄って俯いていました。


「あ…っ姫様、姫様!」

パタパタと私の肩を叩くので顔を上げると、車の外を見ています。

その視線の先を見ると、

「あ……」

あの車の御簾が高く巻き上げられて、中に座っている方――式部卿宮様のお姿が露わになっていました。



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