准教授 高野先生のこと
話したいみたいに言っておきながら、いざとなると……。
どうにもなかなか切り出せない。
かといって、先生も催促をしてくる訳でもなく……。
しばらくなんとなく他愛のない話が続いた。
「詩織さんて、こういってはなんですけど22歳っぽくないですよね」
先生の“こういってはなんですけど~”は、たいてい“あーあ”な失言の始まりだ。
「それって、老けてるってことですか」
私はもう慣れっこで、とくに怒ってなんていなかったけど。
なんというか――
流れ的にむっとした表情をするのが礼儀かな?なんて思って。
ちょっと演じてみたりして。
「いや、すみませんっ。そうじゃなくて、“超~”とか“やばい”だとか、そういう言葉をぜんぜん使わないじゃないですか」
確かにそれは先生の言うとおり。
使わないのは、自分に似合わないし柄じゃないと思うから。
私はちょっと同年代の子たちのペースや勢いについていけないところがある。
そりゃあ、老けてるなんて言い方、自分でもしたくはないけれど。
そんな私が“超~、やばいですぅ~”とか言ってみたところでなぁ、と……。
それこそ“KY”甚だしく、場の空気が“何気に”しらけるだけだと思うのだ。