准教授 高野先生のこと
今こそ私的に高野先生の存在が超やばいということを伝えなくては……!
「先生、私の初恋って――」
気持ちを落ち着けて、できるだけ普通な感じで。
そう、ちょっとした子どもの頃の思い出話でもするみたいに。
「恥ずかしいんですけど、すごく遅かったんです。ほんと、すごく」
なんだか変な言い方になっちゃったなぁ、って……。
これじゃあまるで“生理が遅かった”とか?“初体験が……”みたいじゃないか。
「そんなこと、早ければいいというものでもないでしょう」
先生は“僕みたいに”と苦笑した。
私の言い方がおかしかったから、先生の台詞まで妙におかしく聞こえてしまう。
“童貞なんて早く卒業すればいいってものじゃあないでしょう”みたいな……。
私はちょっと気を取り直して、思い切って言った。
「だって、22歳だなんて……」
場の空気が、瞬時に変わるのがわかった。