准教授 高野先生のこと
こうして先生の腕の中にいると、とっても心地よくて安らいだ。
ほっぺたを胸にペたっとつけたままで目を閉じる。
くんくんと、洗い立てのシャツのいい匂い。
どきどきと、胸の鼓動が聞こえてきそう。
生まれて初めて大好きな人に抱きしめられる感じ。
私はそれをすべての感覚を総動員して体中で感じ、噛み締めた。
黙っていた、先生も私も。
じんわりとあたたかい沈黙。
私たちはただ黙ってしばらくそうしていた。