准教授 高野先生のこと

なんなんだ、この荷物は……。

もうこれは完全な家出少女の様相である。


秋ちゃんちに泊まりに行くときは、すべて何でも借りられるから身軽だけど。

先生のうちに行くのにはそうはいかないんだもん、仕方がない。


なーんか修学旅行とまではいかないけど、結局プチ家出くらいになってるし。



先生は私の荷物をひょいと受け取って、ちょいと後部座席に置いてくれた。

「荷物多くて、すみません……」

「随分」

「え?」

「長い間、会わなかった気がする」

先生はそう言って私を見ると、眩しそうに目を細めた。

私だって先生に会えない5日間はすごくすごーく長かった。

「相対性理論ってこういうときに使っていいんでしたっけ?」

「君に会えない今週はとても長かったよ。出張続きで忙しかったのに、本当に」

先生はホント参ったなって顔で笑った。


私たちってすごく恋してるなぁ。

なーんてすごく思ってしまった。




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