准教授 高野先生のこと

勝負下着は装備?していても、やっぱり綿のパジャマだけではとても薄着で……。


先生の体温や感触とか、そんな一切合財をいっそう間近に直接的に感じてしまう。


海で抱きしめられたときは着込んでいたからわからなかったカラダの感じ。


先生の冷えた体に包まれて、私の火照った体の熱がじわりじわりと奪われる。

そういう感じが、何故だか妙に心地よい……。


こんな風に抱き合ってると、いやおうなしにリアルに想像させられる。


肌と肌が触れ合う感じ。

カラダとカラダが重なる感じ。


それっていったい、どういう気持ちがするのだろう?


それは雲をつかむような話だったのに……。

今では現実味を帯び私の前に横たわっている。

“無い”と思われていたはずなのに、今は“ある”ような気がして仕方がない。


「ドライヤー、使うよね」

「あ、使いたいです」


私は心の無にして、ガーガーと髪を乾かすことに集中した。

そうして、ずぶ濡れの貧相な犬は地味な眼鏡の女子学生に戻ったのだった。



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