准教授 高野先生のこと

先生がお風呂に入っている間、なんとなく落ち着かなくて一人でそわそわ……。

とりあえず少しでもリラックスしたくて、音楽を聴こうと思いたった。

テレビをつけるって手もあったけど、それはなんだか煩すぎるような気がして。

棚に並んだCDの中から選んだのはサティのピアノ曲集。


まったりと音楽を聴きながら、ぼんやりと窓の外を眺める。

きれいに晴れた夜空にまあるい月がぽっかりと浮かんでいた。

「ただいまー」

「あ、おかえりー」

先生の声がして、反射的に振り返る。

ついそのままのノリで言っちゃった……。


「サティ、聞いてたんだ?」

「なんとなく」

先生はパジャマの上に渋い柄の半纏をぞろっと着ていた。

カーディガンじゃないところが、なーんか良くって。

私にはかなりガツンとツボってしまった。

だって、“おうち”って感じがのほほんとしてて可愛いくて。



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