准教授 高野先生のこと

さてさて……。

やっぱり、この私には土台無理なのである。

少女マンガやドラマのようなスマートで素敵な流れるような展開なんて。


先生の手が肩にそっと置かれた瞬間、私の体は一気に緊張で強ばった。

いくら恋愛検定8級程度の私でも、この状況では気づかぬわけがない。


今まで私が見てきた参考資料では――

まず見つめ合って、だんだんと……って。

だけど実際には――

んなこたぁ、ずぇったいに、ぜんぜん無理!!


とにかく照れてしまって、恥ずかしすぎて顔がまともに上げられない。

だけど、断固拒否だなんて勘違いされたらすごく悲しいし。

でもでもっっ……!

やっぱり先生を見上げるなんて、見つめるなんて、難易度高すぎなんだもの。


「詩織ちゃん」

「あ、あのっ」

「ん?」

「今……何かしようとしてます、よね?」


私は、バカだ……。




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