准教授 高野先生のこと
フツーの男の人なら遠慮なくドン引きしてしまうところかも。
しかし高野先生という人は何しろ衝撃に強い人だから。
っていうか――
むしろこういう衝撃が大好物かも……?
先生の声が楽しそうにウキウキ弾む。
もう、こちらが悔しくなるくらい楽しげに。
「まさに何かしようとしてるけど?」
「やっぱり……そう、ですよね……」
「詩織ちゃん、困ってるの?」
「困って……やっ、あの、嫌って訳じゃ……」
「じゃあ何かされても困らない?」
先生は意地悪だと思う。
そうやって、いつだって私に決めさせようとする。
「どうしていいか、わからないだけです」
私は先生の肩口にこつんとひとつ頭をぶつけた。
先生はお得意の先生口調になって――
「それでは。まずはですね……」
ぽんぽんと2度、私の両肩を軽くたたいた。