准教授 高野先生のこと

「僕は君の人生に積極的に関わらせてもらいたいって思ってる。

結婚てね、どんな人にとっても一種の賭けだと思うんだよ。

人は誰だって明日のことなどわかりはしないからね。

そして、なにしろ“賭け”だから。

時間をかけた選択が失敗なこともあれば、直感頼りの答えが吉と出ることだってある。

だからってね……当然じっくり時間をかけて吟味する必要はあると思うんだ。

いったい誰に賭けるのか、果たして目の前にいる相手に賭けてよいものか。

闇雲に勘だけで勝負するなんてリスクが高すぎるからね。

熟考が功を奏すというのは十分にあり得ることだと思う。

“僕に賭けてみない?”

なんて、今の君にいうのは無茶なことだってわかってる。

ただ、真剣に考えてみて欲しいんだ。

だから、時間をもらえない?

いっぱい熟考して、吟味して決めて欲しい。

君に賭けているこの僕に、君が賭けるかどうかってことを。

恋愛も結婚も相手を選べる関係だから。

これはもう究極の自己責任なんだけどね。

本当に、まったく今すぐじゃなくていいんだ。

熟考に熟考を重ねて何年先になっても、ね。

僕は後悔しないし、もちろん君を恨んだりもしない。

たとえ何年もかけて出した君の答えが、僕にとって残念なものだったとしても。

だってもうこの時点で、僕は君に賭けてしまっている訳だから。

勝手に賭けて負けた僕の自己責任だよ」

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