准教授 高野先生のこと

あー、もう……。

ほんっと私ってどうしようもない。

素直に喜べなかったり、妙な勘繰りをしてみたり。

なんだかこれじゃあ、まるで先生を信用してないみたい。

ほんとのほんとに自分で自分が嫌になる。


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、先生は唐突な質問をぶつけてきた。

「初生雛鑑別師って知ってる?」

「は?」

「ひよこのオスメスを区別する特殊な技術を持った人のことだよ」

あぁ……それなら聞いてことがあるしテレビで映像を見たこともある。

大量の?ひよこの性別をものすごい速さと正確さでどんどん見分けていくあれだ。

「あれって熟練した人は完全な目視でなく雰囲気でわかるようになるんだって」

「えーっ、それはすごい」

「どういうって聞かれても説明つかないけど、なんとなくわかっちゃうらしいよ」

「へぇー、そうなんですかぁ」

いったい、先生と私って何の話をしていたんだっけ???


「僕はそういう特殊技能はないから、ね」

「へ?」

「その女性が自分の唯一の人なのかを瞬時に判別することなんて出来ないよ」

先生はそう言って、コーヒーの入ったカップをゆるく揺らして一口飲んだ。


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