准教授 高野先生のこと

予約なんてしていなかったけど小さなホールサイズのケーキが買えた。

もちろんチョコレートのプレートを付き。

「お名前はなんとお入れしたらよろしいでしょうか?平仮名それとも漢字で?」

「カタカナで“ヒロユキくん”でお願いします。あっ“くん”だけは平仮名で」

さあて、これこそ私が先生を名前で呼ぶ為の第一歩。

けどなぁ“くん”てどうだろう?

やっぱり、“さん”だよね???

うーむ、なんとも悩みどころである。

まあ、ケーキはこれでいいんだけど。


「ろうそく、お付けしておきますね」

「あっ!それ、細いやつで33本お願いしたいんですけど」

「え゛っ!?」

お姉さんの笑顔がひきつり固まる。

「しょ、少々お待ちくださいませぇ……」

「はぁ……」

奥へ引っ込んで行くお姉さんを、やや怪訝そうに見送る私。

ふと先生を見ると、隣りでちょっと俯いてくつくつとひっそり笑っていた。


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