准教授 高野先生のこと

森岡先生が教員と学生の恋愛についての見解を述べられているのはわかる。

だけど、いったい私に何が言いたいのか???

「あの……」

「君たちは違うだろ?」

「えっ」

驚いた私の視線が森岡先生の優しい視線とぶつかった。


「君は教え子だったけど、めでたく卒業した今はもう“かつての”教え子なんだ。

親御さんからお預かりしている大切な宝物も卒業。お客様でもない。

かつての可愛い教え子は今は立派な一人の女性で、言ってみりゃ人生の後輩なんだ。

もっとも君の場合は縁あって同窓の後輩ということにもなるけどさ。

先輩と後輩が恋に落ちるなんてのは、まったくよくある話だよ。

その先輩が一年先輩でも二年先輩でも、もちろん十年先輩でもね。

鈴木さん?

オレの言いたいこと、わかるよね?」

私はただもう、黙って深々と頷いた。

びっくりして何も言えなくて、目頭がぎゅっとあつくなる感じがした。


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