准教授 高野先生のこと
「誤解して欲しくないんだけどさ、
最初からそういうつもりで?君をあいつに預けたわけじゃないからね。
あのとき、オレは本当に家のことでいっぱいいっぱいだったし。
理論の勉強ならオレなんかよかあいつにみてもらったほうがいいと思ったから。
純粋に君の為を思って……それは嘘じゃない。
ただ正確には君の為だけじゃなくて、あいつの為でもあったんだな。
ここ2、3年……あいつは学生に超恵まれなくてね……。
何気にさ、教員生活にちょっとした淋しさとか虚しさとか感じちゃってたわけ。
だから君みたいな向学心のある学生と接するのはすごく良いかな、なんて思ってね。
けど、まさか……。
高野が病気したときの君の心配ぶりを見て、なんとなくピンときたよ。
あいつの気持ちはわからないけど、少なくとも君は……ってね。
念のため言っとくけど――
オレは誰にも何も聞いてないし、言ってもない。
もちろん、あいつからだって何も聞いちゃいないんだ。
まったくオレのお節介なんだけど、君があいつのそばに居てくれたらなぁ、なんて。
できれば、ホントにできればなんだけど……。
本人には絶対言わないけどさ、あいつは本当にいい奴だよ。
だから勝手ながら応援させて欲しいんだ。
オレの友達のこと、ヨロシク頼ンます」