准教授 高野先生のこと
思いがけず、この階でエレベータがとまった。
そして扉が開くと、思いもよらない人物が降りてきた。
「田丸、先生……?」
「どう?びっくりしただろ?」
目の前にぬぅっと現れたのは、ペットボトルのお茶を2本持った田丸先生。
「真中クンが心配してたみたいでさ」
「真中君が?」
「だから、ボクが煙草を買いに出るついでに見てくるよって言ったんだ」
田丸先生はニコッと笑って、ハイッと言ってお茶を一本私にくれた。
「あの……ありがとうございます」
お茶のお礼と、それから、気にかけてわざわざ様子を見に来てくれたお礼。
「ボクも逃げてきたんだ」
「え?」
「キミも、だろ?」
田丸先生はやんちゃないたずらっ子みたいにきらりと一瞬目を輝かせた。
「私と先生、仲間ですか?」
「うん。仲間なかま」
目が合って、間があって、それから吹き出すように笑いあった。
なんだか楽しくっておかしくて、私たちはペットボトルのお茶でカツンと乾杯した。