准教授 高野先生のこと

寛行さんは立ち上がって本棚の一番上の段から細長い包みをひょいと取った。

そして――

「ええと、トナカイから詩織ちゃんにクリマスプレゼントがあります」

まるで将棋でもさすみたいに私の真正面に正座した。

「はい、メリークリスマス」

「私に?」

「そう、君に。トナカイから」

寛行さんはトナカイに御執心のあまり、完全にサンタの存在を忘れている……。

「ええと、でも、いいのかな……?」

「何が?」

「だってもう、ラブレターは貰ったよ?」

「それはそれだよ、きっと。間違ったのはトナカイの責任だからね」

「けど……」

「開けてみたら?」

「うん……それじゃあ……」

丁寧に包装紙を開いていくと……。

明らかにそのケースはアクセサリを入れるもので……。

「ああっ、クロスだ」

中には、なんと!きれいなクロスのネックレスが入っていた。



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