准教授 高野先生のこと

銀色に光るカットボールチェーン。

クロスには水色の石がいくつかついている。

「トナカイがね、君の誕生石の指輪はダメだって言うんだよ」

「トナカイが?」

「うん。そういうのは、おまえが自分で渡せよな、だって」

それはまた、なかなかおせっかいやきなトナカイである。

「この水色の石、何かわかる?」

「ええと……」

恥ずかしいことに、私はアクセサリに関してはまったく疎くて……。

水色なんて、アクアマリンか、それから他には……???

「ブルートパーズだよ」

「トパーズ?」

「そう。何月の誕生石か知ってる?」

「それって…」

知らなかったけど、ぜんぜん知らなかったけど……もちろん一瞬でわかった。

「なんか、ストーカーみたいだな、僕」

「えーっ!そんなことない!大事にするね、いつもつけるね、いつも一緒にいるね」

私がなんだか必死になって大事にする宣言?をすると、

寛行さんは、ちょっと照れたように嬉しそうに微笑んだ。


< 438 / 462 >

この作品をシェア

pagetop