准教授 高野先生のこと

「せっかくだからつけてみようね」

そう言って、寛行さんがネックレスを手に取って、そっとこちらに腕を伸ばす。

首の後ろに手をまわされ、何故だか妙に緊張する。

ぎゅってされそうでされないこの感じに、ちょっとドキドキ……。

思わずじっと息をひそめ、身動きできず固まる私。

「ハイ、できたよ」

「あ、ありがとう」

それにしても、ネックレスは可憐でとても素敵なのに今の私の格好ときたら――

ネルのあったかパジャマに、ごわごわもこもこの半纏を着こんでいるし。

「パジャマには似合わないよね……」

「まあ、ねぇ。けど、長さとか大きさとかバランスっていうの?ちょうどいいよ」

「ほんと?そうかな??いい感じ???」

「うん、すごくいい。あぁ、長さは多少調節できるからね。今は最大」

「ありがとう。嬉しいなぁ」

寛行さんが褒めてくれて喜んでくれたものだから、もう嬉しくて嬉しくて。

私は彼の胸に飛び込んで、じゃれあうように二人で床に寝転んだ。



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