准教授 高野先生のこと

トナカイに頼まれたのは、もちろんクリスマスカードなんかじゃなかった。

真っ白い封筒に、真っ赤なハートのシールで封をしたその手紙は――

そう、鈴木詩織、人生初のラブレターである。

普段はずぇったいに口に出して言えないようなこっ恥ずかしいことも言っちゃおう!

などという……それはもうゲリラか?テロか?ってくらい危険極まりない手紙なのだ。

どれくらいの危険度かというと――

読み終わったら自動的に爆発しちゃうゾ!アハッ!キャハッ!

と、まあ……ざっと、これくらいの破壊力を軽く有する恥ずかしい手紙なのである。

なんと、夜の夜中一人きり、しんと静まりかえった部屋で想いを綴った一発書き。

夜中にラブレターの一発書きなんて大冒険をしたのは、もちろんわざとだ。

律儀にも、寛行さんへの義理を果たさなければと思ったから。

結果的には恋文なんだか脅迫状なんだかの微妙な感じの仕上がりに……。

そんな残念な感じが否めなかったけど、それでも潔くそのまま封をした。


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