准教授 高野先生のこと

1.


寛行さん

いつだって会えるのに手紙だなんて、

なんだか不思議で特別な感じがしますね。

せっかくの手紙だから、手紙らしく、

ふだんはちょっと言えないようなことを、

頑張って伝えてみたいと思います。


最近、ちょっと怖いんです。

あなたのことが好きで好きで好きすぎて、

そんな自分が、なんだか怖くなるんです。

こんなに好きになっちゃって、

こんなに好きになりすぎちゃって、

いったい私は大丈夫なのかなって。

もうもうと突進して抱きつきたくなるし、

くんくん匂いを嗅ぎ倒したくなるし、

べたべたべったりくっつきたくなるし。

今にも、生霊なんか飛ばしそうな勢いで、

もう、自分で自分がとても信用なりません。

これはかなり危険な状況かもしれません。



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