准教授 高野先生のこと
2.
こんな私にしたのは寛行さん、あなたです。
あなたの隣りは居心地が良すぎるから、
あなたの匂いが魅力的すぎるから、
あなたのぎゅうが気持ちよすぎるから、
みんなみんな、全部あなたのせいなんです。
だから、あなたには責任と義務があります。
私の手をずっとずっと絶対に離さない責任、
私に思う存分くんくんさせてあげる義務、
私をぎゅっとぎゅっと抱きしめる義務です。
どれもこれも非常に重大な責務です。
大変であろうことは、重々お察ししますが、
どうか、はりきって頑張ってください。
だって、そうしないと私が何をしでかすか、
わかったもんじゃあないでしょう?
私は、今では、持ち前の狡猾さだけでなく、
けっこうな大胆さも持ち合わせています。
これだって、あなたのせいですよ?
あなたに出会う前の私は、とても慎重で、
石橋を叩き過ぎて壊すような性格でした。
こんな大胆不敵な私にしたのは、
あなたなのだから仕方がありません。