准教授 高野先生のこと

車は、ぼちぼち私の実家のある市内へ。

「詩織ちゃん」

「ん?」

「時間はまだ大丈夫そうだし、もしよかったら……」

「?」

「詩織ちゃんのお気に入りの場所とかあれば、僕、そこへ行ってみたいな」

お気に入りの場所……。

そう言われてすぐに思い浮かんだのは、あの公園だった。

「えっとね、高校のそばにね、大きな公園があるんだけど。そこでもいいかな?」

学校の中には入れないけど母校の外観も見てもらえるし。

「うん。じゃあ、そこへ行こう」

「久しぶりだなぁ、私も」

そんなわけで――

車は立ち寄り地点の私の実家の前に、寄り道地点の?公園を目指した。


なにしろ季節は寒い冬。

今日は日付が日付だし、今は時間も時間で夕方近く。

公園の駐車場はガラガラで、園内の人影もとても少なくちらほらだった。



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