准教授 高野先生のこと

二人で遊歩道を手をつないで歩く。

こんな風に外で手をつなぐのは、とってもとっても久しぶり。

いつもは、なんとなく外での行動には気をつかって自然と自粛しているから。

本当は人目をはばかる事なんて、無いといえば無いのだけど。

「この公園ね、大きな噴水があって夏になるとすごくキレイで気持ちいいの」

「へぇー、それは見てみたいなぁ」

「行ってみる?けど、今は冬だから……」

「きっと、水は涸れて冬眠中だね」

「噴水の冬眠?」

「そうだよ。暖かくなればまた起きる」

「でも、土の中にもぐったりしないよ」

「器用なんだ。ほら、人間だっているでしょ、立ったまま眠れる人とか、さ」

「もう、またそういうこと言って……」

私は彼に軽くトンと体をぶつけて、それから、じゃれるように腕に巻きついた。


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