僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「……しくったな」
はぁーっと、祠稀は大きな溜め息を吐いた。
「すんません。悪いんですけど、帰ってもらえます?」
「……は?」
「ちょ……祠稀!?」
祠稀の急な発言に、おじさんたちは唖然としている。
「きっと彗は、あんたらに会いたくないんすよ。事情がどうであれ、俺らは彗の味方なんで。……今日は帰ってくれます?」
「祠稀……」
立ち上がって、リビングのドアを開けに行った祠稀に、おじさんもおばさんも言葉が出ないようだった。
……金銭的な話って、なんだろう。仕送りとか学費の話なら、電話やメールで済むはずで。彗が返事をよこさないから、ここまで来たんだって言うには違和感が残る。
だから、多分、きっと……。
「ごめんなさい。今日のところは、帰っていただけますか……?」
あたしも立ち上がって、会釈した。
「彗が……会う気になったら、またいらして下さい」
「っそれは困る! やっと逢えると思っていたんだ! 本当に急用なことなんだ!」
少し声を荒げるおじさんに、あたしは眉を下げることしかできない。