僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「もう朝だな」
祠稀はぱちんとキッチンの電気を消した。
カーテンの僅かな隙間から光が差し込むリビングは、なぜかとても温かく感じた。
暗かったリビングは光を取り戻し、今日という日が始まる。
「朝ご飯、作ろうか」
そう笑ったあたしに、祠稀は眩しそうに目を細めた。
「彗が嫌がる、シロップたっぷりのホットケーキでも作るか」
「ふふっ、そうだね」
たまにはそんな悪戯も、いいかもしれないね。
きっと彗は思いきり嫌そうな顔をして、「拷問だ」なんて言いながら、きっと食べてくれる。
そんな彗を凪は笑って、「たまには糖分取れば」って。そしたら祠稀が、「凪は塩分控えろ」って意地悪く言うの。
……守ろう。何者からも。
あたしの決意は、固まった。
幸せを教えてくれた人たちを守れるならば、あたしは何も惜しまない。