僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


恐怖から、孤独から抜け出して。強く強く、前を見て。今、歩み出そう。


いつも人の顔色を伺っていたあたしは、弱虫だから。


苛立たせないように、嫌われないように。何者も否定せず、波風立てないように、平和を望んでいた。


だけどそれは、どっちつかずの優柔不断。いい顔ばかりする、八方美人。


臆病な、あたし。


……なれるかな。あたしにも。


祠稀のような、自信のあるあたしに。

凪のような、自分を持つあたしに。

彗のような、優しく正直なあたしに。


なれると、いい。

なりたい。そんな人に。


偽りの仮面を砕いて、有須として、人にぶつかっていきたい。


この体に染み付いた傷も、癒える日が来ると信じても、いいですか?


もう待つのは疲れたから。


信じた道を、己を信じて、突き進もう。


強く。前へ、前へ。


行き着く未来には、みんなの笑顔があると信じて。



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