僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
色付く、セカイ
◆Side:凪
「ホンマにすんませんでした!」
あれから2日。雨雲はどこかに消え、晴れた空の下、校庭の端にあるベンチで昼ご飯を食べていたあたしと祠稀の前に、遊志が現れた。
「「……」」
夏が近付く昼下がり、相変わらずの黒いパーカーは半袖に変わり、同じく相変わらずのちょんまげは、下に垂れている。
「……なんで大雅じゃなくて、遊志が謝りに来てんの?」
まずはそこからでしょ。
隣で胡座をかいてる祠稀も、遥か遠くで背を向けて立っている大雅を見つめていた。
「……堪忍な。あそこまでが限界やねん」
あそこが限界って……あたしらより10メートルは離れてますけど?
「つーかさ、アンタに謝られたって無意味だし。しかも俺らじゃなくて有須に謝るのが筋だろ」
ごもっともな意見で……。
遊志は大雅の背中を見つめ、申し訳なさそうにあたしたちに向き直った。
「話を聞いてほしいねん」
大雅の。と付け足して、遊志は地面に座った。