僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「大雅はな、この学校の裏ボスやねん」
「……は?」
「知ってるし」
「は!?」
何、裏ボスって! てか知ってるって何よ祠稀!
遊志も驚いたように祠稀を見上げ、すぐに地面に視線を落とした。
「ほんならえぇわ……話、早い」
「いや何も早くないよね? どういうことさ」
「……大雅はな、表面上はいい子演じてんねん。普段はむっちゃ悪い奴やねんけど」
ハハッと笑う遊志は砂をいじりながら話し出す。掴んだ砂が、指の隙間からサラサラと地面に戻った。
「でもな、ホンマはええ子やねん。ひねくれてしもうただけなんよ」
嘘だと言えないのは、いつも明るい遊志が苦しげに話すからだろうか。
「普段の大雅もな、ホンマもんの大雅やねん」
それとも、初めて会った時の大雅の印象が、疑いもなくいい人だったからなのか。
……判断しづらい。