僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「許してほしいなんて言わへん。言わへんけど……知っといてほしいねん、大雅のこと」

「……」


大雅にも、あんなことをするわけが何かあるとでも?


理由があるなら聞きたい。だけど、許せるかは別の話だ。


「大雅はな、俺んちの使用人の息子やねん」

「……え?」


使用人?って……え?


「あ。俺んちな、金持ちやねん」


ニカッと笑う遊志に拍子抜けする。


いきなりぶっちゃけられても……。


「ほんでな、大雅と俺の父親、一緒やねん」

「……」


そ、れって……つまり。


「俺と大雅は異母兄弟」


隣に座る祠稀は黙々と弁当を食べ、あたしは急に聞かされた大雅と遊志の関係に驚きを隠せない。


だって、異母兄弟って……使用人の息子って……。
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