吸血鬼の花嫁
「……なんじゃ、青いのには言っておらんのか」
戻ってきたルーに向かって、紫焔は開口一番にそう言った。
紫焔の言葉にルーはばつの悪そうな顔をする。
「だから、わざわざ俺名義で手紙を出したんだよ…。つか、なんでお前本人が来るんだ……」
「女の知り合いなら、わらわ自身も入ると思っての」
「入れるんじゃねぇ」
疲れたようなルーがため息をついた。
ハーゼオンの時と同様に話の見えない私は、お茶を飲みながら説明を待つ。
「ええと、こいつは紫焔ミルフィ…」
「もう名乗っておるぞ。早く本題に入れ」
「そうなのか…。いや、その、なんというか…」
ルーは言いにくそうに言葉を濁した。
「最近、花嫁の元気がないから、女同士でしか出来ない話があるんじゃないかって思ってだな…。
だけど、ここには俺とか吸血鬼とか男しかいないわけだし」
ルーなりに気を使ってくれたらしい。
なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「でも、俺、情けないことに女の知り合いがこいつしかいなくて……。仕方なくこいつに紹介を頼んだわけなんだが」
それで先程の、本人は来なくてもいいという話に繋がるらしい。
紫焔は私を見て、ふふんと笑った。
「折角だから青の花嫁の顔を見てやろうと思うてな」
「お前、ちゃんと眷属に言って出て来たんだろうな…」
「もちろん」
紫焔はルーが安堵の表情を浮かべるのを確認し、続けた。
「言うてあるわけないじゃろ」
「お前という奴はっ」
机をひっくり返しそうな勢いでルーが叫んだ。
「いらん恨みを買わせるんじゃねぇよ。ただえさえ、お前のとこの眷属に俺たち嫌われてんのに」
「平気じゃろうて。下手にここへ手を出し、我が寵愛を失う痛みを皆畏れておる」
「……失った後の奴が、自棄になってここにきたから言ってるんだ」
どうやらルーは、私にも関係しているあの話のことを言っているらしい。
胸が、痛む。
「それはわらわには関係のない話じゃ」
「ある」
きっぱりと、ルーが言い切った。
「ない」
負けじと紫焔も言い返す。