その日、僕は神になった
 俺は走りだしていた。息が切れ、心臓がキシキシと妙な叫び声を上げる。視界が曇ってきた、俺は泣いているのか?心臓を抑え、片手で目頭を拭い、それでも走り続けた。ぶっ倒れるまで走り続けたかった。
 額にはベッタリと汗を掻き、何時間もかけてセットした髪型は無残にも崩れていた。汗でワックスとスプレーが溶け、目の中に入った。その痛みに堪えるようにして、俺は瞼をきつく、きつく閉じた。
 息を整えるための荒い呼吸は、次第に嗚咽に変わり、俺はその場に膝から崩れ落ちた。
 分かっていたことなのに、それなのに、襲いかかってきた悲しみの渦は、予想を遥かに超えた勢力だった。これが失恋というものなのか、こんな思いをするくらいなら、人を好きに何かなるんじゃなかった、思いを告げようなんてしなければよかった、そんなことをしなければ、ずっと彼女のことを思い続けられたのに…、夢は夢のまま覚めなかったのに。
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