その日、僕は神になった
 事故の瞬間、僕がその様子を見ていれば…、病院に搬送された直後を見ていれば、その生命の灯りが消える瞬間を見ていれば、そうすれば僕はこの身に宿った力を使い、彼の命を救うことが出来ただろうに…。完全に失われた命を今更引き戻すことは、神の力を持ってしても不可能だ。どこまでもついていない男だった。だがそれを、彼は望んだだろうか?その死顔を見る限り、そんなことは望まなかったように思える。
 司会者の進行により、式はたんたんと進められた。
「それでは、最後のお別れの時です…」
 悲しくもないのに、さも悲しいと言った口調で話す司会者に促され、先ずは両親が、続いて親族が次々と真の納められた棺の中に花を添えていった。両親は発狂するでもなく、能面のような顔で花を添え合掌すると、一筋の涙を彼の頬に落とした。
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