Magic Academy ~禁書に愛された少女~
「あのさ、シーク」

ルンの髪を丁寧に解かしながら、声をかけた。

「…なんだ?」

声をかけてみたものの言葉につまり、沈黙が流れた。

「…あのさ、もしも、の話なんだけど」

深呼吸を一つする。

「魔力がなくなっちゃったら、どうする?」

櫛を持っていた手が止まる。

「どうする、とは?」

「えっ?いや、あの…なくなっちゃったら、魔法が使えなくなっちゃうでしょ?そしたら」

「なかったらなかったで、生きていく」

「えっ?」

シークの言葉に少し驚いた。

「魔力がなくなるイコール死ぬというわけではないだろう。昔は、魔力のあるものの方が少なかったんだ」

シークの言葉に、心臓がドクンと音をたてた。

「でも、今はみんな使え」

「だからなんだ?皆が使えるものが使えないことに、一体なんの問題がある」

「………」

シークの言葉に、何も答えることが出来なかった。
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