おいしい紅茶を飲む前に
 だけど、人質がどうのといった行動をとっている人間は、ここにはいないようなのだけれど。

 中央の扉ではなく、右手の小さな扉がゆっくりと開き、フレディと、紹介にあずかったばかりのミスタ・コクランが入ってくるのが見えた。

奇妙な統制で各グループにまとまり囁き合っている客たちの間を縫って、彼らは目指す相手の元に走り寄る。


「ジェラルド、クリス」

「フレディ? いったいどうやって入って来たんだ。屋敷は包囲されたと聞いたが」

「そんなことはない。簡単に入り込めたよ。包囲しているのはヤードの方だ」

「なんですか。騙されていましたの? 私たちは」
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