破   壊
 この時、僕はいったいどんな表情をしていたんだろう。

 とにかく、憶えているのは、おばさんが無言で僕の方へやって来て、死んだばかりの子犬を連れて行ったという事。

 怒りもせず、ずっと無言だったよ。

 どうして懐いていた子犬にそんな事をしたかって?

 理由は無いよ。

 嘘じゃなくて、本当さ。

 犬を殺したのは、その子犬が最初で最後だけどね。

 子供の時って、よく蛙とか、虫なんかを殺して遊ぶ事ってあるじゃない?

 それと同じかなって、自分でも考えた事があったけど、どうもそれとは違うみたいなんだ。

 今は、そんな難しい事、考えないようにしている。

 難しく考えると、頭が痛くなるんだ。




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