引き金引いてサヨウナラ


何か叫んでいるのはわかるのに、内容は全然聞き取れない。


外へ出ても、何がなんだかわからない。不安が増す。


辺りを見回して状況を確認することさえ考えつかず、ただ怯えて空を見上げることしか出来なかった。


「柚江!」


聞いたことのない、必死な声を出す父。


呼ばれた母の柚江は、隣家の玄関から家の中へ声を掛けていた。


姿を見留め、慌てて美菜と達也の元に駆け寄る。


隣家に掛けた柚江の言葉は、美菜にもはっきりと聞こえていた。



『爆弾が──!!』



.
< 86 / 221 >

この作品をシェア

pagetop