ケイカ -桂花-
ここからは横から見た愛人の姿だけで、お母さんもオヤジも見えない。

なんだか、ぱっとしない女。

サンダルから想像した通りの、若くて薄汚れた女だった。

伸ばしっぱなしの金髪頭はパサついてあちこちはねてるし、ノースリーブのワンピースに生足。

薄い顔立ちなのに、化粧はほとんどしてなくて、マスカラも塗られていない目は眠そうだ。

なんであんな女?

年齢を差し引いても、お母さんの方が女としてずっと上だ。

フッ。

思わず鼻で笑ってしまい、慌てて手で押さえた。

その瞬間、愛人がこっちを見た。
< 13 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop