ケイカ -桂花-
『もう1っこ謝りたい事あるんだ』

「なに?」

ドキッと心臓が音をたてた。

『一番好きって言ったじゃん?キンモクセイ。あれ、嘘。私もさあの匂いするとトイレを思い出すんだ』

は?

今その話?

しかもどうだっていいし。


「で、どこにいるの?」

『今、空港』

「空港?どこ行くのっ?海外?」

『うん、海外。・・・と思ったんだけど、ダメだった』

「なにそれ、どういう事?」

『なんかさー、パスポートの有効期限?』

「切れてたの?ちょっとそれバカすぎ」

『違う違う、それはまだあるんだけど、私が行こうと思ったとこ、有効期限から半年分の余裕が無いとダメなんだって。
まったく、じゃあ有効期限ってなに?ってカウンターでケンカしちゃった』

よく分かんないけど、海外には行かないんだ。

そのシステム、ナイス。

『でさ、気まずいから国内線にしたんだ』

え?

そりゃ海外よりはマシだけど、遠くに行く事には変わりない。

「ど・・こに・・?」

『んー、まだ決めてない。今度は優しそうな人のカウンター行って決める』

なんだよ、それ。

間延びしたケイの声に力が抜けてくる。

マイペース過ぎない?それって。

だけど、なんとか止めなきゃ。
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