ケイカ -桂花-
家に帰ってからもなんだか体がふわふわしていた。

宮崎の赤くなった顔や、笑顔、声、腕の感触、冷えた手の温度、公園の匂い。

全てが愛しさを持って体中を駆け巡る。

もう彼氏なんだから「宮崎」ってのも変かな?

宮崎は私の事「桂」って呼ぶのかな?

そんなくだらない事ばっかり考えてしまう。

結局怖くて開けられなくて持って帰ってきたペプシを、お気に入りのショップの袋に入れ、チョコの隣にしまった。

チョコに紙にペットボトル、これからも増えていくであろう思い出の品。

形のあるこれらは、言葉や笑顔とは違う力を持っている気がする。

世界中どこにでもある物なのに、見る度に、触れる度に、言葉より確かな何かを感じさせる。

目に見えないものが大事というのは分かるけれど、そういうものは時間と共に変化する。

大体が知らないうちに色あせてしまう。

だけど物は捨てない限り、そのままであり続ける。

こんなコレクション誰にも見せられないけれどね。
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