焦れ恋オフィス
「ん?どうかした?」

尋ねる私をじっと見つめるだけで何も言おうとしない。

「なぁ…芽依のここには誰がいるんだ…?」

「……」

少し悲しそうに夏基が指指したのは、私の胸の辺り。
よく見ると、その手は微かに震えている。

はっと見上げると、今まで見た事のない切なそうな夏基の顔。

「…夏基…」

「芽依のここに…俺は…」

その時、絞り出すように聞こえる夏基の言葉を遮って、女の子の声が聞こえた。

「戸部さん!やっと来てくれたんですね」

夏基が声のする方に視線を向けると、一人の女の子が小走りにこっちにやってくる。

可愛らしいその笑顔…確か開発部の子だ…。

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