焦れ恋オフィス
私が何も言えず、夏基を見上げると、ふっと笑って

「たまたま家族で来てるんだよ。な、芽依」

優しくほほ笑む顔を向けられると、初恋にときめくみたいにドキドキする。

軽く照れて笑い返す私。

やっぱり…夏基の事好き…。
諦めるけど、逃げるけど…忘れるなんてできない。きっと。

「芽依…」

何か言おうとする夏基だけど、再び遮られた。
…わざと、かな。

「戸部さん、みんな待ってるんで、早く行きましょう」

夏基の腕を掴んで引っ張って行く女の子。
ついて行く夏基は、何か言いたそうに視線を私に投げかけてくる。

けれど、女の子の勢いに苦笑しながら、軽く手を振って奥の部屋へと消えて行った。
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