焦れ恋オフィス
苦しい気持ちをタクシーの中でどうにか落ち着かせた私は、何度目かになる大学病院に着いた
待合室を横切って、産婦人科の外来で診察カードを機械に通していると、
「芽依ちゃん」
と聞きなれた優しい声が聞こえた。
その声に振り返ると、麻のワンピースを着た真里さんが私に近づいてくるところだった。
今来たばかりなのか、真里さんは少し息があがっていた。
日傘を持ち、不安げな表情のまま、ほほ笑む姿を見ると、それまで自覚していなかった緊張感から少し解放されたように思えて、軽く安堵の息を吐いた。
いつ見ても穏やかに笑っている真里さんは、私の事を絶えず気にかけてくれている優しい女性だ。