焦れ恋オフィス

「2位でも凄いよ。自慢していいんじゃない?」

「自慢にもならないよ。大賞取る事が親孝行なんだから」

夏基は、普段見せない真面目な顔を私に向けて、素っ気なく呟いた。

私はそんな夏基の様子にどう答えていいのかわからずに、黙り込んでしまった。

『親孝行』なんて言葉、これまで夏基の口から聞かされた事なかった。

何だか、夏基の心の奥にある、深い気持ちが出てきそうな気がして少しだけ緊張する。

夏基は、そんな私の気持ちに気づいたのか、安心させるように小さく笑うと。

「俺の父親は弁護士で。兄貴二人も弁護士。父親は、俺も弁護士になって兄弟で弁護士事務所を継いで欲しかったんだ」

じっと聞く私の隣りに近付いて、私の頭を抱いて胸に引き寄せてくれた。

私の固くなっている様子をほぐすように何度か背中をポンポン叩いてくれて。

私も、そっと夏基の腰に腕を回して寄り添った。


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