焦れ恋オフィス
「父親が俺にも弁護士になって欲しいってわかってはいたんだけど。
俺は高校時代から建築に興味があって、大学も法学部じゃなくて建築学部を選んだんだ。
反対するかと思ってたけど、父親は、俺の気持ちを認めて応援してくれたんだ」
「……いいお父さんだね」
「ああ。自分が思い描いていた未来を俺が覆してしまったんだから、かなりショックだったと思うけど、俺の将来は俺のものだからと言って笑って背中を押してくれたんだ。
だから、大賞を獲って、父親が諦めてくれた夢への恩返しっていうか。
ま、安心させたいんだ」
素直に自分の気持ちを呟く事が照れくさいのか、どこか遠くをを見ながら話している夏基。
夏基から初めて聞かされる話はじんわりと暖かくて、これまでいい家庭で育てられていたんだろうなと思っていた事が裏付けされたようで。
私の心に穏やかに入っていく。