ユピテルの神話
僕は、彼が「卵」だった時を思い出しました。
『僕と共に生きてくれる者か。僕を喰らう、僕を終わらせてくれる怪物か。』
可愛らしい彼。
僕と共に生きてくれると言った、僕の心の一部。
愛くるしい無害なはずの彼の姿は、思いもよらぬ形で後者へと変貌を遂げていたのです。
「――…ロマ!!落ち着きなさい!大丈夫!もう怖くありません!ロマ!?」
いくら叫んでも、
怒りを纏った彼に届かない。
僕はロマの瞳の目の前に降り立ち、大きく変貌を遂げた鼻先にしがみつきました。
「――…めて…、止めて、ロマ!世界が壊れてしまう!大地に芽吹く命が絶えてしまう!大切な友達を、自分の力で絶やしてしまうんですよ!?」
――ギャアァアァ…
「…ロマ!床に伏せた人々は、崩れた家の下敷きになってしまう!!会いに行こうとしたエマだって…!…っ…エマ…」
――ギャァ……
「……エ…マ…。エマが…死んでしまうんですよ…。鎮まって…ロマ…」
僕はロマの鼻先を力一杯抱き締めて、泣いていました。
哀しくて、哀しくて。
「…お願いします、ロマ!世界を壊すなら…彼女を殺すなら…、お願い…僕を……」
――僕ヲ、殺シテ。