嘘と嘘で始まる
ドアの閉まる音が合図だったかのように、慎也の唇が落ちてきた。
最初はどういう事なのか、どう反応していいのかわからなかったけど、私の背中に回った慎也の手に引き寄せられ、キスが深くなるにつれ、私の腕も慎也の首に抱きついて…。
離れたくない気持ちそのままに、キスを返していた。

「俺の事好きだろ?」

「…ん…」

「好きって言えよ」

「す…好き」

キスの合間に言わされて…息が苦しいのはキスのせい?

それとも、慎也にばれてしまった戸惑いのせい?

「し…慎也くるし…い」

続いている激しく甘いキスに、うまく呼吸ができなくて、私は思わず慎也の胸を叩く。

「…ちっ。やっとキスできたんだから、お前も集中しろよな」

「はぁ、はぁ…。な、何言ってるのか意味わかんない」

慎也の腕から離れて見上げた途端、また抱き寄せられてしまう。

「もうちょっと。もうちょっとこのまんまでいろ。後でなんでも答えてやるから」

「……」

ぎゅっと抱き締める慎也が何を考えているのか、この状況をどう受け止めていいのかわからなかったけれど、慎也の胸に抱かれて、とても、幸せだった。

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