遠目の子鬼
妙な気分に包まれながら、僕はユーフォニュームに息を吹き込む。


「よし、保孝、今日はこれで終わりにしようぜ」


「――はぁ、うん」


僕が返事をするのと同時に周りの景色が何時もの教室に戻る。


「へぇ~すごいね保孝クン。ちょっと感動しちゃったよ」


なっちゃんの瞳がきらきら輝いている。僕はそれが眩しくてたまらなかった。


「僕が凄いんじゃないよ。又兵衛が凄いんだよ」


僕がそう言うと、なっちゃんは椅子から立ち上がり又兵衛の前まで歩み寄ると、ゆっくりとその場にしゃがみ込んだ。
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