遠目の子鬼
「保孝クン」


なっちゃんの声だと、直ぐに分かった。


僕はゆっくり振り向く。


「英二君が、今日も一緒に練習しようって。皆、音楽室に集まってるから…どうしたの?保孝君…」


僕が又兵衛に背中を向けて居る事が、ちょっと不思議に感じられたらしい、ちょっと不思議そうな表情を浮かべている。


「あ、う、うん、分かった、今行くよ」


又兵衛は相変わらず笑顔を崩さずに、僕を見詰めている。


「じゃぁ、又兵衛、そう言う事だから」


広い草原が何時もの教室の風景に戻る。
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