社長と恋



「…好きだよ。」


唇が離れた瞬間、近距離でそう言うと、俺は部屋を出た。


にやける口元を隠す事なく、俺は車に乗り込んだ。


携帯を取り出し、一つメールを送ってみようかと思い、ハタと気が付いた。


…俺、山崎のアドレス知らねぇ……


携帯を助手席に乱暴にほかると、窓から山崎の家を見つめた。


今、どんな顔をしているのだろうか…


ふ、と笑って俺は自分の家に帰った。


―次の日部署へ入ると、山崎の姿を見つけた。


「おはよう」


声をかけると、てっきり照れるだろうと思っていたのに


『あ、おはようございます』


と、あっさり真顔でそっけなく言われた。


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