1/2 〜危険なベターハーフ〜


知らないことを
全部自分の無知のせいにして
自分のものにする前に
目を逸らしてたんだ。

蓋をして、諦めて。


そして自分を卑下して。



「怒ってない…?」


腕の中にいる、
誰より不安だったこの女を
護らないといけないのに。

逃げてる場合じゃない。
目を逸らしてる暇はない。



…護りたいんだから…



「怒ってない。何も知らなすぎて焦っただけだ」

「言えなかったんだもん…」

「うん?」

腕の中にいるちぃが
申し訳無さそうに俯く。

「可能性があることは、
ご飯があまり食べられないあたりから気付いてたの」


でも、怖かった。
結果と向き合うのが。

消え入りそうな声。


ちぃも怖かったのか。





「もし、もしもだよ?
あたしが妊娠してたら、
どうしてた…?!」


仕事もあるし、
家族の問題もある。

まだ親に話してないし
ちぃの親も知らないだろう。

やらなきゃいけないことはきっといっぱいあったはずだ。





それでも。

「俺はちぃがいいんだ」

だから、
喜んで抱き締めたよ。

そう言ったらちぃが泣いた。



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